社畜以上の商魂 プーケットタクシー屋オヤジの香港脱出記
6)支払い忘れんといてや
倉庫を綺麗に処分出来て、会社を閉める実感も湧いてくる。
残り少ない今回の香港滞在中に済ませる仕事は盛り沢山。
どんどんくる不動産の内見スケジュールを横目に、
*会社名義の銀行口座は一つを残して解約。
*会計士に帳面の提出。
そんなある日、
「OO先生、管理事務所のXXです~。
実は先日、一つ上の階の外壁の修繕をしたときに
お宅の外壁に小さい亀裂を発見したんで修繕させてもらいたいんですわ。
外側なんで費用は管理事務所が全て負担しまっさかい。
但し、作業員の仕事の都合もありますんで、日程調整せなあきまへんねん。」
こんな時に面倒くさい事言うてきたなぁ。
ワシの滞在スケジュールと作業員さんの都合が合わず、
結局3月9-11日の3日間ということに。
外に竹で足場を組んで作業するようで、
1、足場設置、2、壁修理作業、3、足場撤去作業、
で最低3日かかるらしい。
ちなみに足場屋さんと作業する人は別なんよ。
窓から壁に行くから、当然家主がおらんと作業員さんは仕事出来んわけや。
その時、頭にピ~ンと来たことがあったんよ。
今まで、何組も内見に来て、
ほとんどの人が部屋とか眺望とか、間取りとか気に入ってる割には話が進まん。
実はちょっとしたマイナスポイントがあったんよ。
それは寝室の壁にあったシミ。
この部屋は前の家主が室外機と分かれたエアコンに付け替えてたんやけど、もとの一体型のエアコンをつけてた壁のふさぎ方がエエ加減で、大型台風のときにそこから雨がしみ込んでたんよね。
元々の間取りは3LDKやったのに、前の家主が1LDKにぶち抜いてたのが気に入って買うたんやが、香港人はそれをまた3LDKに作りかえるつもりで物色してる。
当然、全面改修が前提。
そこで、下手に修理してきれいに見せても意味ない、と考えてたわけ。
WhatsAppのメッセージ
(ちなみに香港はLINEではなくWhatsAppが主流。
世界中からのdeedee Phuket taxi のお客さんもWhatsAppからが一番多い。)
「おう、
ちょっと頼みたい仕事あるんやけど。
カクカクシカジカで壁塗ってくれる職人さん手配してもらいたいんや。
値段とかは一切任すさかい、
写真添付するから参考にしてもろて、
時間あるとき返事ちょうだい。」
「OO先生、
今、家族旅行で日本にいてますねん。
今晩、香港に戻ります。
戻り次第、職人のスケジュール確認して連絡しまっさかい、
それまで待っとくれやす。」
この男とも長い付き合いで、
数年前にインテリア設計事務所を始めてたのを知ってたから、頼んでみたわけ。
翌日昼ごろ、
「OO先生、
間取りも分かってますし、状況もしっかり理解してます。
職人のスケジュール確認したんですけど、旧正月前はもう無理そうですわ。
旧正月明けのスタートでもよろしいか?
絶対信用できるヤツ行かせますから。」
「それやったら不動産屋に鍵預けとくから
ワシがおらん間でもエエから出来るだけ早よう頼むわ。」
その後、H●BCの口座解約。
最寄りの支店はデモの影響で閉鎖中。
やむなく旺角支店まで。
幸い最寄りの地下鉄駅は利用可能な入口が限られ、
えらい遠回りになるんで、結局歩いて行く。
信号機は破壊され、
歩道と車道の間のフェンスはバリケードに使われたんでほとんどなくなってる。
中央分離帯や地下鉄入口の壁は落書きだらけ。
中●系の銀行は襲撃予防やろなぁ、鉄板でカバーされる。L(゚□゚)」
これが今の香港の姿や。
帳面を閉めて、
最後の決算書類を持って会計事務所へ。
湾仔の路上も旺角と大差ない状況。
「決算書類持ってきました。
25回目で最後になります。
今までえらいお世話になりました。」
「まだやで~。
アンタの次の滞在までにオーディットして、
会社登記抹消の書類作っとくから、
次回また来てサインせないかんで。
それと請求書もあるから支払い忘れんといてや。」
会計事務所のおばちゃん社長の商売っ気が香港らしいわ。
今回やることは終わったけど、
また今後のスケジュール確認せんといかんな。
あ!
鍵, 不動産屋に預けるの忘れたらいかんがな。
(デモとコロナに翻弄される香港は無事に旧正月を越せるんやろか。
何か最近すっかりバンコクに帰ることでホッとしてるやないか。。。)
*感想*
街がボロボロになってても、内装屋も会計士も仕事は続けてる。
香港人の商魂たくましや~。